4年前、私は子宮頸がんの手術をしました。その後結婚し、子どもも産まれ、今回初めてこの場で当時の話をさせていただきます。
今でこそ笑いながら話せますが、健康診断で要精密検査になってから手術が終わるまでは本当に毎日不安で、今思えば、その憂憂としていたその気持ちが、がん細胞の活性化を助長させていたのだと思います。
私の赤裸々な体験談が、子宮頸がんで悩んでいる方の力になってほしい、子宮頸がんでない方もその予防策として読んでほしい、もちろん男性にも子宮頸がんのことをちゃんと知ってほしいと思い、書かせていただきます。
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【健康診断】子宮頸がん細胞診が「要精密検査」
うん年前の25歳の頃、会社の健康診断結果をみてびっくり。子宮頚がん細胞診の検査結果が要精密検査になっている!!うそ、、私ってガンなの!?ガーン、、って古い、笑えない。。精密検査で陽性と言われたらどうしよう。。怖い。。精密検査なんてしたくない。。と声にならないプチパニックが、すべてのはじまりでした。
子宮頸がんとは?
子宮頸がんとは、ものすごーく簡単に言うと、「女性が男性とえっちしてできるがん」です。。。って、この表現だけでは語弊があったり誤解を生んでしまうので^^;少し詳しくお話します。
子宮がんには、頸がんと体がんの大きく2つあります。子宮自体にできるのが子宮体がん、子宮の入り口、子宮頚部にできるのが子宮頚がんです。
子宮頸がんの原因は「ウイルス感染」
子宮頸がんは発がん性ヒト・パピローマウイルス(HPV)というウイルス感染が原因で引き起こされるそうです。このウイルス(HPV)は、男性の性器等に付着しているため、性交渉により感染します。つまり、性交渉の経験がある女性であれば、誰でも感染してもおかしくない、ありふれた存在です。
ウィルスに感染しても多くの場合は、その人の免疫力によってウイルスが体内から排除されます。しかし、1割ほどの割合で、ウイルスが排除されずに感染が長期化する場合があり、さらにこの中から長い年月(数年~10 年以上)をかけ、細胞を進化させながら異形成と呼ばれる前がん状態、さらに子宮頸がんへと進行することがあるそうです。
まとめると、性交することでウィルスに感染するが、そのほとんどは発症せずがん化する前に消滅する。しかしそのごく一部が年月を経て細胞を進化させながら、最悪の場合子宮頚がんへと進行する病気といえます。
また、この子宮頸がんは、発病までに年月を要することもあり、発病する前に発見することができるので、定期的に検診を受けなさい!!、と本やネット等で口すっぱく書かれています。
それにしても・・・
煙草やお酒などの生活習慣病が引き起こす肺がんや肝臓がんなどと違い、性交渉によりがんになることがあるなんて驚きですよね。やっぱり快楽の裏には影がつきものなんですね、なんて思ってみたり。。これだけでも他人ごとではないとおわかりいただけるのではないでしょうか。
子宮頸がんの進行度は5ステージに分けられる

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ウィルスが長期化してとどまっている状態を、Ⅰ~Ⅴ期の大きく5つのステージに分けます。すでにクリニックなどで定期検診を受けている方にはおなじみの数字かもしれません。
ステージⅠ、Ⅱ
ステージⅠ、Ⅱは、ほとんど問題なし。ガンの心配はないけど、でもまあ1年に1回ほど検査は受けましょうという安心なレベル。大体健康診断でひっかかってくる女性はステージⅡ、Ⅲのあたり。
(Ⅱa、Ⅱb、Ⅲa、ⅢbというようにⅡⅢのステージ内でも進行度合いによってそれぞれabに分かれます。)
Ⅱは、ガンの心配はほとんどないが、なんらかの炎症などが見られる、というもの。この炎症もウィルスが関係しているものとはいえないし、ステージⅠに戻ったり発症せず消滅することがほとんど。
ステージⅢ
ステージⅢくらいから少し放っておけない状態になってきます。Ⅲaは、少し異形成が始まっていますよ、の軽度異形成状態。Ⅲaあたりで悩んでいる女性って結構多いのではないでしょうか。
※子宮頸がんワードとして、「異形成」は頻出です。大事なのは、異形成は、将来がんになる可能性もあるが、まだがんではありません、ということ。
さらにⅢbは高度異形成で、がんへの一歩手前、発がんする可能性が高い状態です。
初期はほとんど自覚症状が見られないので、子宮頸がんが最初に発覚するころには大体Ⅱ~Ⅲくらいにすすんでいることが多いようです。
※子宮頸がんかどうかを検査方法する方法に、通常は組織細胞診(組織診)と呼ばれる診断方法がもちいられます。子宮の入り口付近を綿棒やヘラのようなものでこすって細胞を取り、顕微鏡で正常な細胞かどうかを確認するものです。
しかし、健康診断で再検査と言われたり、ステージⅢbやⅣくらいになってくるとコルポスコープ診(コルポ診)という、膣の中に拡大鏡を入れ、場合によっては検査のために患部を削り取るという、検査をします。これが結構精神的、体的にシンドイ。チョチョイっと終わる組織診に比べて時間もかかるし出血もするし、検査費も高いんです。
確かコルポ診自体に5000円、検査代に5000円くらいだったかな。
精密検査の結果、私の子宮頸がんのステージはⅢa
私が健康診断にひっかかり、その後受けた精密検査では、ステージはⅢaでした…。 そんなに進行してるの!?と大ショック。
ただ、先生に
「子宮頸がんは、またⅡbに戻ったり、自然に消滅することも多い病気だから、あまり考え込まず定期的に検査を受けていれば心配ないですよ」
と言われ、ひとまず一安心。だけどやっぱりショックだったし、不安もありました。
だって、自分はガンの予備軍になってしまったわけですから。。
その後定期的に検査を受けたが・・・
その後、3~6カ月に1回は婦人科で検査を受けるようになりました。(1年くらいはステージⅢaのままでした)
すると1年半後くらいの検査で一度だけ、ⅢaからⅡbになったことがあって、、、それに安心してしまい、、、もう大丈夫だよね。と自分に納得かせ、検査に行くのを止めてしまったんです。
これがいけなかった。
自業自得と言われればそれまでですし、行かなくちゃ、と頭にはあったのですが、クリニック独特の雰囲気が慣れないのと、やっぱり毎回ガンである自分を思い知らされるのって勇気いるんです。
仕事が忙しいのを理由に、4年も放ってしまっていました。
三十路手前。久しぶりの精密検査で悪化が発覚

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30も間近になり、さすがに行かなくちゃなぁ、と思い腰を上げ、新しいクリニックに行って検査をしてみると。
「なんで今までこなかったんだ、ステージⅣまで進行していますよ。間違いなく手術になるでしょうね。早く大きな病院に行きなさい」
と、先生から一叱。
ステージⅣといえば、上皮を通り越して、がんが中まで入り込みリンパまで到達している可能性のある(リンパ液を通じて転移の恐れもある)状態。
えっ、リンパ?私そんなにやばかったの?としばし放心。
ステージⅣなんて、もう怖い病院行きたくない、
けどそんなこと行ってられない、生きるためには腹くくらなきゃ・・・と、紹介状を手にそのまま紹介されたH病院へ。
紹介された病院へ。即手術勧告を受ける
担当頂いたのは、初老の穏やかそうな先生でした。
「結構放っておいて手遅れになってからくる人多いんだよね」と言われ(スミマセン私です)病院で改めて再検査。
検査結果を聞きに2週間後再訪。診察室に入ると、先生から診断結果について淡々と話しはじめました。
「間違いなくステージⅣです。浸潤ガンという、少しリンパにはいりこんでいる状態です。検査結果上はまだ転移はしていないようだけど、早急に手術したほうがよいでしょう。本当にこれ以上遅かったら手遅れになっていましたよ」
とのこと。
最悪な事態は免れたものの、なんだかまだ安心できない先生からの説明に不安を覚えながら、そのまま手術の説明を受けました。
受けることになったのは「円錐切除術」
私が受ける手術は、「円錐切除術」という、子宮の入り口の患部を切り取る方法でした。初期の子宮頸がんの手術としては一般的な方法のようです。
全身麻酔ののち、膣から器具を入れ、子宮の入り口を、病巣を含めるように円錐形に切除します。開腹しないので、体への負担が少ない手術です。また、幸いなことに妊娠も可能とのこと。
ステージⅣでは子宮を全摘出する場合もあるそうなのですが、当時私はまだ結婚していなかったので、きっと先生が私のこれからの人生を配慮して、こちらの手術方法をとってくださったのだと思っています。名医ありがとう。。
また、円錐切除術は組織検査としての意味も持っているそうで、切除した組織を検査し、病変部が取りきれているか確認します 病変部が取りきれていればこの手術で治療は終了ですが、予想以上にがんが進行していたり、取り残しがあるとわかった場合は再度円錐切除術を行うか、子宮全摘出術を行うといわれました。。ステージⅣまで進行しているので、子宮全摘出の可能性もなくはない、とのこと。。
この話をきいたとき、なんでもっと早く病院にこなかったんだろうと、本当に悔やみました。
手術後のリスクとして取り残しの他にもう一点、まれだけども「癒着」する恐れがあるとも説明を受けました。手術で子宮の入り口を切り取ったところが、治癒しようとしてそのまま子宮の入り口をふさいでしまうことがあるそうです。
こわい!!
そのふさがれたところに生理の血がたまってしまったら、、なんておそろしいことを考えてしまいます。なので、癒着をふせぐためにも、あえて手術の切り口は縫合したりせず、薄い膜のようなものをあてて一時的に止血するだけで、患部は切ったままなのだそう。(子宮の入り口のあたりは痛みを感じにくい場所なのでそれほど痛みなどもないそうです。)
変にしっかり止血して血が体内にたまってしまうほうがかえってよくないための簡単な止血なのだそうですが、10日~20日ほどでその膜がやぶけて大量に出血することがあるそう。ただそれが生理と区別つかないことがあるそうで、どちらにしても大量の出血があったときは病院に行ったほうがいいとのこと。。。ぬーん、、手術すれば終わりってわけではなくて色々あるのね。。
親に内緒のまま手術を受けることに

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さて、手術に向けて、もうひとつお伝えしなければならないことがあります。
実は私は、子宮頸がんで要精密検査になっているときから、今回の手術まで、一度も田舎の親に知らせていませんでした。
余計な心配をかけたくなかったし、、結婚もまだなのに性交してなってしまう子宮頸がんと知ったらがっかりされるんじゃないかと思っていたからです。手術が決まってからも話さなかったし、今も両親は知りません。この先話すこともないでしょう。
さすがに子宮全摘出にまでなったら話したでしょうが、今回の手術ことは、少しの友人と、会社を休む都合で上司に2人と、当時の彼氏だけに話したのみで、入院中はずっと1人で闘いました。自分ががんということをあまり広めたくなかったのと、がんなんて話したらひかれちゃうんじゃないか、と当時思っていました。
手術から4年が経ち、正直「あの時むやみに話さなくて良かった」と、今でも思います。(もちろん結婚するとき旦那には伝えましたが)
理由は2つ。
1つは、無事に手術が終了した今、定期的に検査を受ける以外は、私も忘れたい、しまっておきたい過去であるからです。変に親に「検査行った?」などと無神経に聞かれる心配もなく過ごせています。(個人的なことですが母が心配性なんです。。絶対聞いてくる)こんな大事なこと話さなくて、話せなくてごめん、という気持ちもありますが、、手術後の心にかかる負担の大きさは、手術した者にしかわかりません。時間が経っても簡単にはぬぐえません。もし今手術が決まっていて、親に打ち明けることを悩んでいる方がいらしたら、ご自身の心の負担が少ないほうをお選びになればいいと思います。話して楽になるのであれば、ぜひ話しましょう。病院で一人でいるのは大変孤独ですし、手術のことを考えると不安で気持ちも落ち込み気味になります。
話さなくて良かったと思うもう1つの理由は、正直「話すほどの大手術ではない」からです。なんて、無事に成功したから言えるのですが。今ⅢaⅢbあたりで悩んでおられる方は、ステージⅣになるのをあまり怖がらず今の異形成と付き合ってほしいと思います。先述しましたが、悩んだり怖がったりする気持ちこそが、がん細胞の一番の好物です。その3でも詳しく触れますが、どうかおおらかな気持ちで闘病されてください。もっとつらい、重い病気と闘っている方はたっくさんいます。
それでは、いよいよ手術をします!続きをどうぞ。